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在来種・外来種・移入種および帰化種の位置づけ

 
 

隋伴種の問題

隋伴種は移入種に比べ「渡来年が古いものが多数含まれている」という大きな特徴があります。植物の分野から調べられてきたものですが、その一例として、イネは南方の植物であり、稲作の伝播とともに、農具類や種子などに隋伴して相当多数の植物が日本に入ってきたと考えられています。昆虫などの小動物にも古くイネやムギなどの穀類に混入して入ってきたものがいるはずですが、植物ほどは調べられていません。
 理由はこれだけではなく、植物にも風や海流、渡り鳥などによる種子の長距離拡散があります。しかし、言うまでもなく能動的な運動性という点では、植物より動物の方がはるかに優れており、そのことによる長距離拡散が付随され、そのため、その動物が隋伴種なのか、そうでないのかの区別が難しくなってくるからです。例えばモンシロチョウですが、人類によるアブラナ科蔬菜の伝播に伴って日本に入ってきたのではないかという見方がある一方で、自力で海を渡ってきた可能性もあります。ここでの定義では、前者であれば物隋伴種で帰化昆虫と判断されますが、後者であれば海を渡るには風の影響を強く受けての拡散と想像されますので、自然拡散のうちの風拡散によるものか、あるいは一部能動的拡散の働いた、複合拡散の結果であるかもしれません。後者であると判断された場合、モンシロチョウはいわゆる「帰化昆虫」ではなくなります。
運動能力で受動的か能動的かの違いはありますが、マミズクラゲもモンシロチョウに似た点があります。戦後、マミズクラゲが日本各地に発生した原因はいくつか考えられています。


人為拡散(物隋伴か生物隋伴)
 
(1) 進駐軍や中国からの引揚者がもたらした物資に付着して入る。
(2) 人為的に運ばれる動物(水草や淡水魚など)に付着したポリプが広がる。

 
自然拡散
  (3) シスト状態のものが渡り鳥の脚に付着して運ばれる。
  (4) シストが風で運ばれる。
    ※シスト 日本語では嚢子(のうし)といいます。乾燥や寒冷に耐えるため、体の外側に強固な皮膜を作った
        状態です。つまり、マミズクラゲは生息条件が悪くなったりするとそうした状態になって耐えること
        ができ、その状態では水がなくても移動できる可能性があるということです。

このようにさまざまな経路で、かついくつかの要因が複合して入ってくることも考えられますので、生物種によっては人為拡散か自然拡散の区別は事実上困難といえます。

人類随伴の基準種・スズメとモンシロチョウ
現在の分布や生態からみて、人間が直接的には手を貸していないと考えられるものの、拡散するにあたっては、帰化種と同様に人類営力が強く働いていると考えられる種がいくつかあります。
スズメがその好例です。
前述したように、モンシロチョウの渡来手段として二通り考えられていますが、いずれの手段で日本に渡来したかは対して重要ではなく、このチョウの食草となっている植物の大部分が農耕文化とともに渡来した作物、雑草、人里植物であるという点に問題はしぼられます。
このことは日本におけるモンシロチョウの発展が人為環境内に留まり、人の移住地を取りまく環境の生態系に特殊化していることを示しています。
モンシロチョウのみならず、スズメも同様に人為環境でしか生きられないのであれば、これらの動物は、いわゆる気化種とは生態的等価にあり、広義の帰化種とみなしてよいと考えられます。
人の移住地、およびそれを取りまく環境においてのみ生きることができるという点では、人類随伴の基準値となります。

おわりに・・・

実際に生物の示す拡散は、受動拡散と能動拡散の両者の合成されたものです。
すなわち、拡散=能動拡散+受動拡散で示されます。
帰化種についても同じです。移入から野生化、そして帰化に至る段階で示される分布像は、能動拡散と受動拡散とが合成された結果です。帰化生物の定義は多くの人によってなされていますが、神奈川県立博物館の中村一恵先生は『「帰化植物とは、現在生育する地域の本来のフロラとは異なるフロラを有する地域から人類を介して意識的無意識的に移入され、生育繁殖するに至った一群の植物である。」という史前帰化植物について書かれた前川文夫先生の言い方が最も優れているのではないか。また、これはそのまま動物にあてはめることができると同時に、国内帰化なるものを厳密に定義することにも応用できる。』と書かれています。


  ※フロラ= 日本語では植物相(しょくぶつそう)といいます。ある地域の植物相と言えば、そこにどんな種類の
      植物があるのか、種ごとの割合はどれくらいかなどを意味しており、生育している植物全般の特徴
      のことと言ってもよいでしょう。動物なら動物相(ファウナ)、動物の中の魚類なら魚類相(イクチオフ
      ァウナ)です。

以上、「神奈川自然資料10」の中で、神奈川県立博物館・中村一恵先生が書かれた「日本の動物相における移入種および帰化種の位置づけに関する試論」を参考資料として、「移入種や帰化種とはどのようなものなのか」についてまとめさせていただきました。



国土交通省では、ここでいう「移入種を外来種」とし「帰化種を侵入種」としており、類似する用語との語義の混乱を避けるため、便宜上“外来種”およびそれに関わる用語の定義を以下のようにまとめています。

用 語
定   義
在来種
自然分布(分散を含む)をしている範囲内に存続する種、亜種又はそれ以下の分類郡
外来種
(移入種)
自然分布範囲い亜外の地域又は生態系に、人為の結果として持ち込まれた種、亜種、又はそれ以下の分類群
侵入種
原生自然地域、自然地域に定着した外来種で生物多様性を変化、脅かす可能性のある種
飼養種
家畜、ペットなどの飼養され人の管理下にある種(動物)
栽培種
耕作地、花壇等で栽培され人の管理下にある種(植物)

参考資料:「河川における外来種対策にむけて(案)」:財団法人リバーフロント整備センター発 行



 
 
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